路地裏の風使い

record:08.嘘と真実

8. 薄暗闇の中、ヨーダはカナタと廃教会で別れた。本当は無理にでも手を引いて連れて帰りたかった。けれど、無理に連れて帰ったとして、はたして自分にカナタを守ることはできるのだろうか?カナタが何に怯えているかもわからず、まして今の自分…

record:04.大事な場所

4.昨日の雨が残していった水たまりに、映る日差しがまぶしい。ヨーダはいつもと同じように鳩に残したパンを与え、ぼんやりと昨日の出来事を思い出していた。あの傷だらけの幽霊は、今日も廃教会で歌うのだろうか。だとしたら、本当はもう一度聴きたかった。…

record:03.灯と火花

 3. ヨーダはうずくまる幽霊の後頭部を見ながら、ああ、そうか。と思った。 きっとこいつも、自分の瞳を見るのが怖いのだ。無条件に人を裁く、この蒼い瞳が。「顔、上げろよ。別に、この目で何かしようってわけじゃない。今、見えないようにしてるし」 …